ひこうき雲 著者 : キム・エラン
ニックネーム : Maria 掲示日 : 2022-09-19


こちらの書評で気になって、手に取った。ずっしりと重い話が多いのだが、情緒的で、表現が美しく、時折主人公の置かれた悲しい立場から抜け出るような気分になった。私が個人的に衝撃的だったのは、「水中のゴリアテ」と「三十歳」である。前者は、台風で雨が降り続く中、読んだためにその状況と相まって水の世界の怖さと静けさを感じた。後者は、韓国で実際にあったという、大勢の大学生がソウルの一角で従事させられていたマルチ商法を題材にしたものだ。筆者が、事実を知りたいのならニュースを読めば良い。私は個人とそれにまつわる話を書いている、というようなことをあとがきで述べているが、確かにただニュースを聞くよりも、ある特定の個人の話として受け止めた。したがって、客観的にというよりもっと自分に近い知り合いの話のように読めた。貴重な20代の時間を、騙され、合宿の中で飢えながら売りたくもないものを売らざるをえなかった人たちの苦しみは、いかほどだろう。心が苦しくなった。精神的に安定している時に読むことをお勧めする。

表紙 タイトル
タワー ぺ・ミョンフン
釜山出身の作家によるSF小説です。一度絶版になったそうですが、2020年に復刊。舞台は674階建ての「ビーンスターク」。人々はこの高層マンションの中で一生を終えます。いわば社会の縮図であり国家です。低...
クソ女の美学 ソン・ミヨン
 私は日本の女だ。この本は、怒りを棄ててしまうことなく、表現しなくてはいけないということを教えてくれる。私たち女は、団結し、声を上げ、くじけずに、そしてたまに休み、抵抗し、この人生を楽しむ。韓国語を直...
仕事の喜びと哀しみ チャン・リュジン
図書館の新刊で借りました。タイトルに惹かれて拝読しました。短編が数編入っていますが、テンポが心地よく(翻訳者さんのおかげ)、また描かれている場面がリアルに「今」なので、読みやすいです。 やはり原文で...
他人の家 ソン・ウォンピョン
こちらの掲示板で知って読んでみました。ソン作家の本は、アーモンド、三十の反撃、プリズム、と読んできたけれど、短編集は初めて読みました。 どの話にもひっそりと現代社会の闇が忍ばせてあり、フィクションと...
Lの運動靴 キム・スム
この物語のどこまでが本当で、どこまでがフィクションなのか…? 現実と夢との境目が曖昧になる感覚。 夜遅くまで働くと、意識が朦朧としてきて、 自分が起きている瞬間と眠っていた瞬間がわからなくなりま...


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