ミカンの味 著者 : チョ・ナムジュ
ニックネーム : Maria 掲示日 : 2022-02-18


4人の中学生から高校にあがるまでを追いかけた物語。それぞれの葛藤が綴られる。韓国名に慣れていなくて、今誰の話だっけ?と何度も登場人物欄をみ返しつつ読み進めた。これは個人的に映像化してほしい。そのほうが誰の話で、誰と誰が仲良くて…と言うのがわかりやすいだろう。タイトルについては後半に種明かしがある。読み終えてタイトルをみると、いい題名をつけたものだ。
私自身も進学校に通っていたから、夜7時までは学校で自習(という名の強制)で勉強し、帰宅後も遅くまで勉強していたから、受験勉強の辛さは理解しているつもりだった。しかし韓国の場合は、ボランティア活動などでポイントを稼がなければいけないという点が日本と異なる。勉強に加えてあらゆる方面にアンテナを伸ばし、活動しなければならないのが大変そうだ。部活にまでそれが及んでいるのだから、いつ息抜きをするのだろうと思ってしまう。この小説では良い意味でテンプレートの家族は出てこない。そして4人は全然違う性格で、きっと読めば自分の中学や高校の頃を思い出すだろう。「ああ、こんな子いたな」というふうに。
最後に、「82年、キム・ジヨン」とはまったく異なり、様々な世代目線で書ける腕を持つ著者の幅の広さにあらためて感嘆した。ただし よくよく振り返ると、行間から社会の見えない圧力につぶされたり、またふくらんだりする人々の生活の空気感のようなものが垣間見える。それで、ああ、これはチョ・ナムジュの作品なんだと気づかされる。

表紙 タイトル
大人でなく30歳です ニナキム
私も32歳になりますが、もっと完璧な、想像したような大人になれなくて、思い悩むときがあります。みんなそうなのかなと、安心しました。みんな不完全なまま生きていていいのかなと、自己肯定感につながりました。...
ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 ダンシングスネイル
本の帯に、人間関係に疲れてしまった人の関係デトックス、とあったのにひかれました。親友が「人が嫌いなんだよね」と言った時、嫌いということは人に関心があるんだな、本当は仲良くなりたいけど、どこまで踏み込め...
あやうく一生懸命生きるところだった ハ ワン
私はストレスを受けやすいタイプです。ちょっとしたことで感情がマイナスに傾きやすいのですが、このタイトルを見て思わず手に取りました。K文学はタイトルが心にささりますね!筆者が、競争が激しい韓国ならではの...
ひこうき雲 キム・エラン
こちらの書評で気になって、手に取った。ずっしりと重い話が多いのだが、情緒的で、表現が美しく、時折主人公の置かれた悲しい立場から抜け出るような気分になった。私が個人的に衝撃的だったのは、「水中のゴリアテ...
モンスーン ピョン・ヘヨン
コマの落ちたジグソーパズルを与えられたかのような短編である。 愛児の突然死、そこにいるべき妻の姿はなかった、見え隠れする館長の後ろ姿、あえて隠されたパズルの駒にはどんな不条理が隠されているのだろうか...


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