殺人者の記憶法 著者 : キム・ヨンハ
ニックネーム : ふゆのコリア 掲示日 : 2021-11-11


混濁していく記憶との闘いを目の当たりにして、恐怖より悲しみに近い読後感が残った。

思い出すことを諦めない男の姿に、不思議と激しい同情を覚えた。どうやっても思い出せない姿があまりに哀れで、ページをめくるにつれて私は悲しい気持ちになった。自分の中にしかない悲しい記憶も、いくつか思い出したりした。

「主人公の記憶が曖昧」という設定が、読み手の私にどこか安心感を与えてくれた気がする。
冒頭から血と死体がチラつくのだけれど、怖がらずに読み続けられたのはきっと、主人公が恐れても後悔もしていないからだと思った。

娘を守りたい親心が、どこか悲しい。記憶がなくなる前に“目的”を達成してほしいとさえ思ってしまった。殺人の記憶すらも疑って良いと、そう思ったりしながら読み進めた。

淡々と今と過去を行ったり来たりする冷たい文章に、温もりをに近い読み応えを感じた。いや、読み応えよりも「聞き応え」があったと言う方がしっくりくる。そんな一冊だった。

表紙 タイトル
フィフティ・ピープル チョン・セラン
50人もの主人公が出てくる小説は他にはないのでは?読み進めていくうちに、知り合いがどんどん増えていく感じがしておもしろい。そして、韓国で実際に起きた事件も盛り込まれているらしく、なんだか本当にすぐそこ...
となりのヨンヒさん チョン・ソヨン
読むほどに温かさが心に沁みる短編集。心の奥底に優しく浸透していく文章。大切すぎて黙ってこっそり持っていたくなる作品。隣に住んでいるのが異星人で何もかもが地球人とちがったら?地球の言葉では言い表せられな...
死にたいけどトッポッキは食べたい ペク・セヒ
娘も発達障がいがあり共感出来る部分もあったが年月をかけ死を目の前に誰かの為に生きる事にがむしゃらな私には適していなかったかも。若い頃に出会っていれば共感したと思う。だけれど気持ちが引きずられないように...
彼女の名前は チョ・ナムジュ
チョ・ナムジュ作家の『82年生まれ、キム・ジヨン』の次に発表された作品です。28の女性の物語で綴られています。韓国の社会情勢がとてもよくわかりました。隣の国の情勢に驚いたり、他人事とは思えず共感したり...
アンダー、サンダー、テンダー チョン・セラン
クオン社の「あたらしい韓国の文学」シリーズの1巻。このシリーズは装丁も美しく(オシャレ!)、ついついコンプリートしたくなる魅力を放っている。物語は北朝鮮との国境近いパジュに暮らす男女の若者の物語。世界...


코시스센터
webzine koreanet
Korea Net Japanese
Hello K! - Youtube
STAY HOME AND ENJOY K-ARTS